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1.こだわり(りんご)

傾斜地での栽培

当果樹園のりんご畑の80%傾斜地です。
分かりやすく言うと山を開墾して作った「段々畑」です。

段々畑で果樹を作るのは大変です。全て傾斜地にハシゴをかけての作業となるので、平坦地に比べ作業効率は悪くなります。
近年効率の悪い作業は嫌われ、多くの農家が平坦地へ移動していますが、当園では逆に傾斜地を増やしてきました。

理由は単純、非常においしいりんごが出来るからです。当果樹園の常連さんには「山のりんご」が欲しいという人も沢山います。この傾斜地で作られるりんごのおいしさは「百聞は一見にしかず」食べてみれば分かるおいしさなのです。

デメリット

傾斜地でのりんご栽培は大変です。全ての作業は斜めになった山に脚立をかけての作業となります。平坦地なら普段通り歩けばすみますが、傾斜地では移動するにも足を滑らせないように気を遣わないといけません。

収穫時の作業はこの斜面を収穫カゴに10kg以上のりんごを入れて上り下りする必要があります。これはかなりの重労働です。収穫の時期11月は秋田では雪の降ることも多く、この作業が雪の中で行われることもあります。かなり苦しい作業です。

草刈り作業も大変です。平坦地なら、乗用式の草刈り機で車を運転するのと同じ感覚で行えますが、傾斜地ではそれも出来ません。すべて、肩掛け式という手に持つタイプ草刈り機械を使います。乗用式に比べ刈り幅も狭く能率は1/10以下です。人間とエンジンの力で刈られますから、真夏の作業は大変。もう、すぐに汗だくです。

肥料の定着も悪く、一般に販売される肥料の多くは表面にしか効果を示しません。雨が降れば平坦地なら水もたまり、地面にしみこむでしょうが、傾斜地ではあまり期待できません。
結果的に土も痩せがちで赤土が多く、一般に野菜に最適とされる「黒ボク」土には変えることは不可能でしょう。

しかし、いいのです

このように、傾斜地は果樹生産に向いているとは言えません。
しかし、それでも、ここにこだわるのは圧倒的な理由があります。
出来上がるりんごがおいしいのです。
傾斜地にあるりんごの木は多くの光を浴びます。当農園の傾斜地はほぼ全て東から南を向いているため全ての樹にむらなく長時間太陽の光を浴びることになります。これにより光合成がより促進されます。光合成によって出来上がるデンプンが、秋に糖分へと変化し、より甘いりんごを作ります。

デンプンが糖に変化するのに必要なのは昼夜の寒暖の差です。この差が大きい程、糖度は増すと言われています。傾斜地は山の斜面であるため、結果的に標高が高く、昼夜の寒暖差が生まれやすくなります。

赤土は果実が大きくなる窒素を蓄えるには向きませんが、代わりに石灰質をたくさん持っています。石灰質、カルシウムは、果実のしまりをよくし、堅く、糖度と、酸度のバランスを取ってくれます。痩せた土壌は樹の生長には向きません。代わりに次世代、つまり「りんご」をより充実させようとするのです。

ふんだんな太陽光と、痩せた土のおかげで「ただ甘いだけ」ではないバランスのとれたおいしいりんごが出来上がるのです。

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